東京都教育庁

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    • その他
自治体規模
100校以上
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東京都教育庁
東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
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取材日
2023年10月取材

東京都は不登校の児童・生徒や日本語支援が必要な児童・生徒に対してメタバースを活用して、新しい居場所・学びの場を提供する「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム(以下、VLP)」の提供を開始。JMCが事業プロモーターに選出され、2023年9月から運用がスタートしています。VLP事業の背景や期待する効果など、東京都教育庁総務部の瀧田主任指導主事と池田統括指導主事にお話を伺いました。

メタバースなら気軽に学び、ふれあえる

VLP は、3D メタバースによって構築されたオンライン上の空間。GIGA 端末を通してアバターを操作し、学習したり、コミュニケーションを取ったりできます。事業を開始した背景について、瀧田氏はこう話します。「不登校に関する国の調査で、東京都においても支援が必要な生徒が増加の一途を辿っています。教育庁全体として対策を講じる必要があると考えていました」。「都としても3 万人を超える不登校の子供がいることを深刻に受け止めており、なんとしてもサポートしたいという思いがありました」と熱く語るのは池田氏です。

さまざまな支援方法が考えられるなかで、なぜメタバースだったのでしょうか。「GIGA スクール構想により、タブレット端末が一人1 台行き渡ったことがきっかけですね。また、今の子供たちはゲームに親しんでいるので自分の顔が出ないメタバースなら、一歩を踏み出すハードルが低いだろうと考えました」(瀧田氏)。

▲東京都教育庁 総務部 瀧田 健二 主任指導主事

日本語指導の継続的支援に悩む学校に向けて

▲東京都教育庁 総務部 教育政策課 池田 守 統括指導主事

2023年度は、8自治体(新宿区・墨田区・渋谷区・中野区・杉並区・八王子市・狛江市・多摩市)と「学びのセーフティネット」(都内4カ所)でVLP事業を展開。不登校同様、全国的に増加する外国籍の児童・生徒の日本語教育にも課題が山積しています。瀧田氏は「言葉の壁にぶつかって学校に行けなくなる子供もいます。各自治体は日本語初期指導の段階から非常に苦戦しています。外部から招聘した専任の先生が指導をしていますが時間数も限られており、家に帰ると母語に戻るため結局、忘れてしまう…。なかなか基礎学習の定着が進まないことも課題です」と日本語教育の難しさを話します。

児童・生徒がバーチャル空間を積極的に活用

▲アバターを操作して、コミュニケーションを図る
▲オンライン授業に参加したり、自学自習に取り組んだりする

すでに児童・生徒たちから「楽しかった」「またやりたい」という声が届いています。瀧田氏は「第一歩として、子供たちが友達や指導員と学び、活発にコミュニケーションが取れるようになる ことを期待しています。中には外界とのつながりが全くない子供もいるので、他人の考えを聞いたり、知識を広げたりすることもできます。子供たち一人一人にとって、より良い学習環境になるように願っています」とこの事業にかける期待を語ります。

子供たちと支援員が一緒にメタバース内にあるさまざまなものを活用し、新たな使い方を生み出しています。中野区では、空間に配置してある椅子を活用して「椅子取りゲーム」をし、コミュニケーションを図り、親睦を深めました。「VLPの運用が始まって約1カ月経ちましたが全体的に順調です。JMCはきちんと現場の情報をキャッチして、好事例をたくさん拾ってくれています。ハード関係のトラブルにも、いち早く対応していただきました。何より導入した自治体から『一切苦情がない』現状に、その仕事ぶりが集約されていると思います」(瀧田氏)。

誰一人取り残さない、学びを止めない

「不登校の子供が適応指導教室に継続して来られるようになり、日本語指導が必要な子供が自信を持ってコミュニケーションできるようになる。一人でも多くの子供がつながれるようにすることが当面の目標。その先には高校に通学し、社会に出て仕事を見つけて、自立できることを見据えています」(瀧田氏)。

これから不登校支援や日本語指導を推進したい自治体に向けて、メッセージをいただきました。「他の都道府県の職員も、誰一人取り残さない、学びを止めない、という気持ちは同じだと思います。共に不登校や日本語指導が必要な子供たちを救っていきましょう」と瀧田氏。池田氏は「メタバースを活用した教育環境は、大きな可能性を秘めています。VLPがもっと浸透すれば、さまざまな課題を抱える子供たちの選択肢になり得えます。こういう支援のニーズは必ずあると思いますし、マッチする子供たちがいると確信しています」と力強く語ってくださいました。