葛飾区教育委員会 (東京都)

課題
  • 授業でICTを有効活用したい
  • 校務でICTを有効活用したい
  • 教職員の負担を軽減したい
  • テレワークを推進したい
導入製品・サービス
    • 教育の情報化コンサルティング
自治体規模
50校~99校
プロフィール

葛飾区教育委員会
東京都葛飾区立石5-13-1

印刷用資料
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取材日
2022年9月

葛飾区教育委員会は、学校のICT活用を推進するため、2019年度から5カ年を計画期間とする「かつしか教育情報化推進プラン」を策定しました。現在は、2024年度から5カ年を計画期間とする新たな葛飾区教育情報化推進計画の策定を進めており、JMCは現行プランから継続して策定業務を支援しています。

今回は、現行プランの策定背景や策定後の取組み、次期計画に対する考えなどについて、葛飾区教育委員会事務局の学校教育推進担当課の森孝行課長、同事務局指導室 教育情報係の五十嵐亮主事にお話を伺いました。

ビジョン共有のためにプラン策定は必須

葛飾区教育委員会事務局 学校教育推進担当課 森 孝行 課長
▲葛飾区教育委員会事務局 学校教育推進担当課 森 孝行 課長

2019年度に策定したプランのコンセプトは、「子どもや先生にやさしいICT環境で、自信と誇りあふれる人づくりを支えます」でした。森課長は当時の状況をこう説明します。「当時、本区では、教員用タブレット端末や各学校40台ずつの児童・生徒用タブレット端末の導入、全教室への無線LANの整備など、ICT環境の整備を進めてきました。ただ、ICTの活用についてはノウハウ不足や限られたICT機器、障害等のトラブルに対する不安などから、あまり進んでいないのが実態でした。それらの課題や不安を解消し、授業・学習におけるICT活用を推進していくためには、学校と教育委員会が教育の情報化の考えや方向性等のビジョンを共有し、一体となって教育の情報化の推進に取り組んでいく必要があると考え、本プランを策定することが決まりました」。


プランを道標に計画的かつ着実に進める

かつしかのGIGAスクールかわら版

当時は、学校でのICT機器の活用が十分にできる環境がなく、教員の働き方改革も大きな課題になり始めていた時期でもありました。そこで、本区では、ICTを活用した校務の効率化による働き方改革も踏まえ、教員が端末を使う土台を固めた上で、児童・生徒のICT活用を進めていきました。本プランに沿ったシステムのリプレイスや教員研修などによって、ICT活用に対する教員の苦手意識は年々改善しています。さらに、GIGAスクール構想が本格的に始まってからは、児童・生徒が端末を自宅に持ち帰って活用する機会も増え、着々とICT活用の幅は広がっています。

また、葛飾区教育委員会がICT活用について、区内の実践事例等を紹介するために発行している「かつしかのGIGAスクールかわら版」では、区内の小・中学校の1日の様子を写真付きで掲載。授業で端末を活用する児童・生徒の様子はもちろん、休み時間中にプログラミングする児童や端末を使って学習センターの書籍を探す生徒、オンライン朝礼における活用の様子などが紹介されており、日常的な活用が進んでいることがうかがえます。


目標達成のポイントは情報発信と管理職のリーダーシップ

プラン策定後、葛飾区教育委員会は掲げた目標を達成するために、教員のスキルチェックシートやルールブック、授業用教材を作成して学校に共有するなど、ICT活用に関する情報発信に力を入れました。2022年10月からは、各学校の実践事例を共有するポータルサイトの運営も始まっています。

さらに、管理職に対してさまざまな働きかけを行い、ICT活用を推進していく体制づくりにも積極的に取り組みました。「プラン策定後、あとは各学校に任せますというスタンスでは、目標を達成することはできません。そこで、校長や副校長などの管理職にリーダーシップを発揮してもらう必要があると考え、校長会などでプランの説明やリーダーシップの大切さを伝えました。その際に、具体的なプランを示せたことで説明がしやすかったですし、各学校がICT活用を推進していく上でのよりどころになったと思います」(森課長)。


時代や学校の変化に対応する新たなプランの策定

葛飾区教育委員会事務局 指導室 教育情報係 五十嵐 亮 主事
▲葛飾区教育委員会事務局 指導室 教育情報係 五十嵐 亮 主事

プランに沿って順調にICT活用が進む中、葛飾区教育委員会は、2024年度以降も教育の情報化を継続して進めるために、新たな葛飾区教育情報化推進計画を策定することを決めました。その背景について五十嵐主事はこう語ります。「GIGAスクール構想が本格的に始動したことで、教育の情報化は転換期を迎えています。一人1台タブレット端末の環境が整うなど、現在のプランを策定した時期とは大きく状況が異なってきたため、社会情勢や学校の状況にあわせた、より実践的な計画を新たに策定し、進めていく必要があると考えました」。

次期計画の策定に当たっては、専門的な知見を有する事業者の支援が必須であることから、事業提案型の公募を行い、公募内容に適した提案を行ったJMCを、現行プランの策定に引き続き支援業者として選定しました。「JMCの担当者とは、月に一度顔を合わせて情報交換を行っています。限られた期間内での的確な現状分析や、教育ICTに関する知見を生かした計画の提案、支援開始当初から変わらない現場に寄り添った対応などが大きな安心感につながっており、新たな計画の策定支援に期待するとともに、適切な業務管理をお願いしたいと考えております。」(森課長)


教育委員会と学校をつなぐ橋渡し

ICT活用を推進するために、計画の策定支援を外部に委託するメリットについて森課長はこう語ります。「教育委員会で計画を策定することは可能という考え方もあるかと思いますが、学校や教員への情報収集をはじめとする作業は膨大で、自前ではできる対応が限られます。JMCは、計画策定の過程で教育委員会と学校をつなぐ橋渡しの役割を担ってくれるので、各学校からの意見が届きやすくなりますし、計画の浸透もスムーズになります。さらに、コンサルティング的な視点で現状や今後のプロセスを整理してもらえるので、自分たちがやるべきことを客観的に捉えられるメリットがあります。教育委員会内ですべての業務を抱え込む必要がなくなり、負担も軽減されます」。