小田原市教育委員会・富水小学校 (神奈川県)

課題
  • 授業でICTを有効活用したい
  • 教職員の負担を軽減したい
導入製品・サービス
    • Chromebook 安心サポート
    • タブレット端末活用支援
自治体規模
30校~49校
プロフィール

小田原市教育員会
神奈川県小田原市荻窪300番地

小田原市立富水小学校
神奈川県小田原市飯田岡481番地

印刷用資料
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取材日
2022年2月取材

小田原市は2020年度までに、計14,000台の Chromebook を導入。ICTを活用した教育の推進計画に基づいて、活用促進に注力しています。端末活用の指針と活用状況について、小田原市教育委員会教育指導課の石井政道氏、岩立忠氏、相川直史氏にお話を伺いました。また、子供たちが自ら端末の活用法を提案するなど、積極的に活用している富水小学校の時村健太先生、和田大輔先生、中田稔真先生に、授業の様子や端末導入の効果などを語っていただきました。

小田原独自の推進計画に沿って段階的にスキルアップ

▲小田原市教育委員会 教育指導課 石井 政道 ICT 活用統括

端末導入が決まった当初は教育委員会も学校も手探り状態でした。「導入にあたって校長会や各学校担当者を集めて事前説明会を行いました。その際に、ICT活用の全体像から Chromebook の機能説明まで、JMCにお願いしました。導入後も保守・運用から研修、活用支援まで、さまざまな部署の人がよく連携してサポートしてくれるので助かっています」と話すのは岩立氏です。

小田原市は準備段階から、全校に推進計画、端末の環境やコンテンツ紹介、先生の研修、家庭との連携方法などを共有し、歩調を合わせて進めてきました。
「ステップ0から3までを設定し、小田原独自の推進計画に沿って進めてきました。毎年、『ここまでやってくださいね』と先生に確認しながら、スキルを上げています」と語ってくれました(石井氏)。


定期的な情報発信と学校内でICT活用を浸透させる環境を整備

▲小田原市教育委員会 教育指導課 岩立 忠 指導主事

「2カ月に一度開く、JMCとの定例会議は活用促進の大きな助けになっています。数値的なことだけでなく、各学校の活用状況や先生の習熟度、ICT支援員のアプローチ内容などの報告を受け、進捗状況や課題の把握に努めています。2023年度からは、ICTを活用して個別最適な学びを具体化した授業を目指す『ステップ3』。すでに端末の活用が日常化していると感じています」と岩立氏。
「教育研究所主催の共同研究に所属する先生がICTを活用した授業を行って、各学校の先生に見学に来てもらったり、ICTの利活用をする上での困難や解決方法、活用方法などを掲載した文書『kyo-labo通信』で、学校へ積極的に情報発信をしたりしてきました。すでに各学校で利活用に長けている先生が出てきています。熱心な学校はOJTを行い、先生同士で助け合いながらICT活用指導力をつけてきました」(石井氏)。


子供たちが自ら端末の活用法を提案してくるように

▲指導者の手元を大きく映して、
細かい動作も子供たちに伝わりやすい学習

その先頭を走る学校の一つが富水小学校です。「『ICT活用推進チーム』を立ち上げ、チームリーダーの和田先生と、4年生主任の中田先生を中心に活動しています。先生方の良い模範になっていて、使い方を真似たり、教えてもらったりすることで、他の先生方も徐々に活用できるようになりました」と語るのは教務の時村先生です。2022年の12月には Chromebook を活用して、4年生が全国的にも有名な「寄木細工」の制作体験学習を行いました。この授業を担当したのは中田先生です。「社会の授業で『自分達の住む地域の伝統工芸品である寄木細工を作ってみたい』という声が上がってきたのです。そこで箱根寄木細工職人の本間 昇さんを学校にお招きし、寄木細工を作る手元を Chromebook に映して、画面を見ながら子供たちも一緒にコースターを作りました。子供たちの思いや願いを大切に授業づくりを意識していますが、ICTを有効に活用することで、子供たちがやりたいことを実現でき、主体的な学びにつながりました」。


▲富水小学校
和田 大輔 先生(左) 中田 稔真 先生(中央) 時村 健太 先生(右)

端末導入3年目を迎え、教科書やノートと同じように日常的に、ICTが使えるようになってきたと話すのは和田先生です。「子供たちが使い方を提案してくるようになり、手書きで文章を書くのが苦手な子が端末ならたくさん文章を書けるなど、子供たちの意外な側面も見えてきました」。また、『ICT活用推進チーム』では、授業だけではなく、教員の業務改善にも Chromebook の活用を進めています。今までは、職員室にあるホワイトボードなどで特別教室の予約状況を確認していました。それをスプレッドシートに変更したことで、リアルタイムで予約状況を確認できるようになり、職員室へ確認に行く手間が省けました。教職員の皆さんにも好評です。それ以外には、共有ドライブに教材を保存したり、教職員の Google Classroom を作って、アンケートや校内研修の資料などをシェアしたりするなどして、業務負担の軽減につなげようとしています。


「社会力の育成」を目標に、ICTの活用を推進

▲小田原市教育委員会
岩立 忠 指導主事(左)  石井 政道 活用統括(中央)  相川 直史 主査(右)

今後もさらに端末活用を推進していくという小田原市。ICT設備の視点から、先生の業務効率化を実現したいと語るのは相川氏です。「今、先生は校務系のPCと学習系の Chromebook と2台使用していて、インターネットの出口が二つあるので、改善の余地があると感じています。この部分を整備していくのが、今後の課題だと思っています」。「ICTは目的ではなくて道具なので、子供たちの学びが充実するために活用していくことが大事です。教育委員会では『社会力の育成』というスローガンを掲げています。子供たち一人一人が充実した人生を送って、より良い地域社会を作っていく力をつけていく。そのためにICT活用は有効な手段なので、これからも学校をサポートしていきます」(岩立氏)。


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