2023年8月、文部科学省は「令和6年度概算要求」を公表しました。

文教関係予算として4兆3,759億円が要求されており、「質の高い公教育の再生」や「誰もが学ぶことができる機会の保障」などの項目が挙げられています。

学校ICTに関わるポイントをまとめましたので、令和6年度の方針や予算化を検討される際にお役立てください。

自治体に求められる学校ICT

一人1台端末の更新 (148億円 ※新規

2020~2021年度にかけて整備した学習者用の一人1台端末の更新が必要になりつつあるため、今後、3~4年程度をかけて、計画的に端末を更新する経費が要求されました。

全国の自治体の状況をとりまとめ、状況を見ながら順次入れ替えを行う予定とのことです。

予備機  
補助額の上限は4.5万円/台と変更なしで、
予備機が補助対象に含まれました!
補助対象 ①児童・生徒数全体の2/3台分
②予備機分(①の5%以内)
補助上限 4.5万円/台(定額補助)

GIGAスクール運営支援センター整備 (40億円)

2022年度から引き続き補助割合は1/3と変更はありませんが、GIGAスクール運営支援センター強化の集中推進期間満了の2024年度で、補助事業の終了を予定しています。

端末活用を日常化し、子供たちの学びのDXを実現する支援基盤の構築が求められていますので、
整備を検討されている場合は、早めに検討、計画を進めましょう。

GIGAスクール運営支援センター

補助割合 1/3

ネットワークアセスメント実施促進 (10億円 ※新規

GIGAスクール構想をさらに進めていくためには、ネットワークの遅延や不具合が最大の阻害要因であるとしています。

クラウドベースでのデジタル教材の十分な活用や次世代型校務システムの導入を進めるなど、教育DXを加速させるためにも、自治体間格差を解消する必要があります。

自治体等で発生した不具合事象例(令和4年度文部科学省調べ)

自治体等で発生した不具合事象例

問題の解決ができていない自治体もあり、格差のある状況の解消が急がれています。

ネットワーク診断の対象は全校としており、状況の把握と早急な改善が求められています。

補助割合 1/2
補助上限 40万円/校
※補助対象となる事業費の上限。交付される補助金の上限は20万円/校。

ネットワークアセスメントの例
 • ネットワーク測定
 • ネットワーク構成調査
 • スループット・レイテンシー調査
 • 無線調査

今後を見据えた文部科学省の取り組み

文部科学省は、次世代の教育現場を見据え、さまざまな実証事業を行うための予算を要求しています。

実証事業の内容を把握しておくと、文部科学省の今後の方針が把握しやすくなるため、動向を踏まえた計画や準備が早めに進められます。

先端技術・教育データの利活用

▶ 課題の解決に向け、先端技術や教育データの利活用に関する実証研究を実施するため、2億円の予算を要求しています。

センシング・メタバース・AR・VR  
センシング・メタバース・AR・VRなどの研究
文章生成AI  
学校現場向けの生成AIツールの導入・利活用に向けた研究

次世代の校務デジタル化推進

▶ 校務用端末が職員室に固定されているネットワーク分離型の運用は、教育DXの阻害要因になっています。

  解決できるモデルケースを創出し、次世代の校務デジタル化モデルの実証研究を行うため、5億円の予算を要求しています。

目指すべき方向性

校務系・学習系ネットワークの
統合によるデータ連携

データ連携基盤
(ダッシュボード)の創出

ロケーションフリー化と
クラウド化の推進

広域での
共同調達の促進

セキュアな環境下で校務の
生成AI活用に向けた実践例創出

概算要求のポイントを押さえ、来年度に向けて効率的な計画や準備を行うなど、早めの対策が必要です。

学校のICTに関することや教育に関する将来のイメージなど、
どのようなことでも構いませんので、お気軽にJMCにご相談ください。

令和6年度文部科学省 概算要求等の発表資料一覧」を参考に作成

一人1台端末導入・活用事例

川崎市総合教育センター

小田原市教育委員会・富水小学校

サレジオ学院中学校高等学校