大磯町教育委員会 (神奈川県)

課題
  • 校務でICTを有効活用したい
  • セキュリティを強化したい
  • 教職員の負担を軽減したい
導入製品・サービス
    • 校務基盤システム構築
    • トータルサポート
自治体規模
9校以下
プロフィール

大磯町教育委員会 神奈川県中郡大磯町東小磯183

印刷用資料
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取材日
2024年3月

大磯町は、2024年1月に全ての小・中学校の校務ネットワークを刷新し、働き方改革を推進しています。校務ネットワーク整備の背景や期待する効果など、デジタル化推進担当の間宮課長と、教育委員会の須田指導主事にお話を伺いました。

学校間での情報共有、コミュニケーションを密にできる環境づくりを

大磯町では、2021年から教員用PCのバージョンアップと校務ネットワーク整備の検討を始めました。リニューアルの目標について、須田氏はこう話します。「GIGA端末の入れ替えやフルクラウド化なども視野に入れながら、学校間で情報を共有して、コミュニケーションを密にできる環境をつくることがテーマでした」。

これまでは小・中学校が独立したネットワークで構成されており、有線ネットワークだったので、教員用PCは職員室でしか使えませんでした。「まず、ネットワークを無線化して教員用PCを持ち運びできるようにし、グループウェアで情報共有することを目指しました」と語るのはデジタル化推進担当課長の間宮氏です。

「今後は、答案の自動採点など、クラウドサービスの利用が当たり前になります。児童・生徒一人一人に合った教育をしていく流れのなかで、AIが出てきたタイミングでもありました。そういった新しい教育環境への対応も見越した、校務ネットワークの見直しが必要だったのです」(間宮氏)。

大磯町 デジタル化推進担当の間宮課長
▲大磯町 デジタル化推進担当課長 間宮誠次氏

先生の声を重視し、セキュリティと便利さを追求

大磯町 教育委員会の須田指導主事
▲大磯町 教育委員会 主幹兼指導主事 須田幸年氏

年に3回開催される「ICT研修会」で、先生に課題やお悩みを聞くことから着手しました。「先生の不安で、一番多かったのは『便利さを追求するとセキュリティが心配』という声でした。ゼロトラストの考え方でセキュリティを担保しつつ、使い勝手を向上することが、今回のリニューアルにおいて最大のポイントだと考えました」(間宮氏)。

「ICTが得意な人の声はよく聞こえてきますが、苦手な人の声を拾うのは難しいのです。『先生も含めて誰一人、取り残さない』をスローガンに、管理職の先生、特に教頭先生に協力してもらい、学校中の意見を、くまなく取りまとめていただきました」(須田氏)。

情報共有しやすく、誰もが使いやすい環境で先生の負荷を軽減

ICTが苦手な先生の底上げを意識し、誰でも簡単に使えるグループウェアを導入しました。使い方の研修会をJMCに依頼、同じ内容のオンライン研修を3日間開催することで、どの先生も参加しやすいよう配慮しました。2024年の1月から新しいネットワーク環境での運用が始まっています。

先生からは、教員用PCを持ち運べるので便利になったという声が届いています。「何よりも他校との情報共有が即時にできるのがメリットですね。例えば、小学6年生から中学1年生に上がる児童の情報は、紙でやり取りしていたのですが、今後は教員用PCを通してやりとりすることも検討しています。小・中学校の連携も進んでいくと思います」(間宮氏)。

「教材や知見の共用もしやすいので、他の先生が作った教材を参考に、自分でアレンジすることができますね。中学校が協同で授業を行ったり、入学を控えた小学6年生の児童がオンラインで中学校の授業を体験したり…。児童・生徒と先生の両方がいろいろな意味で、つながっていくことを期待しています」(須田氏)。

大磯町 デジタル化推進担当の間宮課長と、教育委員会の須田指導主事

今後も子供たちのために、働き方改革を推進

大磯町 デジタル化推進担当の間宮課長と、教育委員会の須田指導主事

大磯町は、これからも校務DXで働き方改革を推進していきます。「大前提として、小・中学校が一体となり、大磯町全体で教育を支えていくという思いがあります。次は、フルクラウド化ですね。校務DXを進めて『大磯町の先生になって良かった』と言ってもらえるような環境にしていきたいです。先生が快適に使えれば、児童・生徒と触れ合う時間も増えて、子供たちにとっても良い環境になると信じています」(間宮氏)。

これから校務ネットワークの更新を進める自治体や学校に向けて、ご自身の経験から須田氏はこうアドバイスしてくださいました。「教育委員会として、学校関係者を巻き込んで、どういう仕組みがほしいのかリサーチして、学校ファーストで考えることが大事です。自治体主導で決めてしまうと、現場に即したものになりにくいですね」。

「最新ICTの動向を見極めながら、先生の要望と掛け合わせて、両軸で進めていくことが重要だと思います」(間宮氏)。